
ショウタ親方、最低賃金がまた上がったんですよね。うちの手元の子、日給なんですけど、これって関係あるんですか?
ダンドリ親方ほいじゃ、今日の段取りいこうや!日給でも月給でも、ぶち関係あるんよ。結論から言うけぇね。
最低賃金は日給でも時給に直して比べます。この記事では、最低賃金を日給で計算する方法を、職人の現場に合わせた例で説明します。
2026年9月3日、厚生労働省は令和8年度の地域別最低賃金(都道府県ごとの時給の下限)について、全都道府県の審議会の答申額を取りまとめて公表しました。全国加重平均は1,177円で、前の年より56円上がっています。新しい額は10月1日から12月2日にかけて、県ごとに順番に始まります。
「うちは時給じゃなくて日給だから関係ない」と思っている職人さんは要注意です。最低賃金は時給で決められていますが、日給や月給も時給に直して比べる決まりです。手元・見習い・パートの事務さんを雇っている人は、広島・山口なら10月の給料から当てはまります。
この記事の結論
- 広島県は10月11日から時給1,141円、山口県は10月8日から1,101円。1日8時間なら、日給は広島9,128円・山口8,808円が下限です
- 日給は「日給÷1日の所定労働時間」、月給は「月給÷1か月の平均所定労働時間」で時給に直して比べます
- 通勤手当・家族手当・精皆勤手当・残業代は計算に入れません。基本給と毎月の手当だけで比べましょう
- 外す通勤・家族・皆勤手当、残業代、賞与を除く(職務・資格手当は入れる)
- 時給に直す日給÷1日の所定時間/月給÷月の平均所定時間
- 比べる自分の県の新しい最低賃金以上かを見る
広島県は10月11日から1,141円、山口県は10月8日から1,101円(令和8年度)。
2026年の最低賃金はいくら? 広島・山口といつから
中国地方と、まわりの県の新しい最低賃金は次のとおりです。発効日(新しい額が始まる日)は県によって違うので、自分の事業場がある県の日付を確かめましょう。
| 県 | 新しい額(時給) | 上がった額 | 発効日 |
|---|---|---|---|
| 広島県 | 1,141円 | 56円 | 10月11日 |
| 山口県 | 1,101円 | 58円 | 10月8日 |
| 岡山県 | 1,104円 | 57円 | 10月2日 |
| 島根県 | 1,092円 | 59円 | 10月10日 |
| 鳥取県 | 1,090円 | 60円 | 10月3日 |
| 福岡県 | 1,114円 | 57円 | 10月4日 |
注意したいのは、給料の計算期間の途中で発効日が来るケースです。たとえば広島で月末締めなら、10月10日までは前の額、10月11日の仕事からは新しい額で計算します。
出典:厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」。全国加重平均は1,177円。
ショウタなるほど、もう始まってるんですね。手元の子は1人だけでも当てはまるんですか?
ダンドリ親方1人でも、パートでも、見習いでも同じじゃ。雇うとる人はみんな当てはまるけぇね。
地域別最低賃金は、業種や仕事の中身に関係なく、その県の事業場で働くすべての労働者に当てはまります。お互いが納得して低い額で約束しても、その約束は無効になり、最低賃金で約束したものとみなされます。払わなかった場合は、最低賃金法で50万円以下の罰金という罰則も決められています。
手元を「外注」「応援」として払っていても、時間や段取りをこちらが指示しているなど、実態が雇用に近ければ労働者として扱われることがあります。
試用期間中などで最低賃金より下げられるのは、都道府県労働局長の許可を受けた場合だけです。また、業種によっては「特定(産業別)最低賃金」が別にあることもあるので、労働局の案内で確かめておくと安心です。
最低賃金を日給で計算する方法|手元・見習いは要注意!
日給の計算はシンプルです。日給÷1日の所定労働時間(決められた働く時間)で時給に直し、最低賃金と比べます。所定労働時間には休憩を入れません。
よくある例で計算してみましょう。広島県で、手元に日給9,000円・朝8時から夕方5時まで(休憩1時間・実働8時間)で来てもらっているとします。
- 9,000円÷8時間=1,125円
- 広島県の新しい最低賃金は1,141円なので、1時間あたり16円足りない
- 1日にすると128円、月20日なら2,560円、1年で約3万円の不足です
同じ日給9,000円でも、山口県(1,101円)なら足りています。県によって答えが変わるので、「去年まで大丈夫だったから」で済ませないのがポイントです。
ショウタうち、ちょうど日給9,000円なんです…。気づかなかったら、ずっと払い足りてなかったってことですか?
ダンドリ親方それはほんまに多いんよ。差額をあとでまとめて払うことになったら、信用まで落とすけぇね。
日給の下限は「最低賃金×1日の所定労働時間」で出せます。8時間なら広島9,128円、山口8,808円です。キリのいい額にするなら、広島は日給9,200円、山口は日給8,900円あたりからが目安になります。
「日給に残業代も込み」で長く働いてもらっている場合
朝が早くて片付けも長い現場だと、実際は9時間・10時間になることもあります。1日8時間を超えた分は、日給とは別に割増賃金(残業代)が必要です。「日給に残業代も込み」のつもりでいると、時給に直した額はさらに下がります。
たとえば日給1万円で毎日10時間なら、8時間分の基本の賃金と2時間分の割増(1.25倍)を合わせて1万円とみると、時給はおよそ952円(10,000÷10.5時間分)です。広島でも山口でも最低賃金を下回ります。働く時間が長い日が多い人は、日給と残業代を分けて払う形を、労働基準監督署か社労士さんに相談してみましょう。
朝の資材の積み込みや、事務所に集まってからの移動などが労働時間にあたるかどうかは、働き方の実態で判断されます。迷ったら最寄りの労働基準監督署に聞いてみましょう。
月給の人は「1か月の平均所定労働時間」で割る
事務の人や長く勤めている職人さんを月給で雇っている場合は、月給÷1か月の平均所定労働時間で時給に直します。平均所定労働時間は「1年の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12」で出します。
計算例です。1日8時間・年間休日105日の場合、1年の所定労働日数は365−105=260日です。260日×8時間÷12=約173.3時間が1か月の平均になります。
- 基本給18万円+通勤手当1万円=月給19万円の場合
- 通勤手当は計算に入れないので、18万円÷173.3時間=約1,038円
- 広島(1,141円)でも山口(1,101円)でも足りません
- 広島で足りるには、基本給などが約19万8千円以上必要です
「月給なら大丈夫」と思いがちですが、休みが少ない分、時間で割ると下回ることがあります。年間休日が多ければ平均所定労働時間が短くなり、時給に直した額は上がります。
入れていい手当・入れてはいけない手当
最低賃金と比べるのは、毎月支払われる基本的な賃金だけです。厚生労働省の計算方法では、次のように分けています。
| 手当など | 最低賃金の計算 |
|---|---|
| 基本給・日給 | ○ 入れる |
| 職務手当・資格手当など毎月決まって払う手当 | ○ 入れる |
| 通勤手当・家族手当・精皆勤手当 | × 外す |
| 残業・休日・深夜の割増賃金 | × 外す |
| 賞与(ボーナス)・結婚手当など臨時のもの | × 外す |
「皆勤手当をつけているから大丈夫」「ガソリン代を多めに渡しているから大丈夫」は通りません。基本の日給・月給そのものを見直す必要があります。
上がった人件費は、見積と単価に入れよう
ショウタでも、給料を上げたらそのぶん僕の手取りが減りますよね。どうしたらいいんですか?
ダンドリ親方ここ大事じゃけぇ。上がった分は、見積の人工(にんく)代にちゃんと乗せるんよ。
たとえば広島で日給を9,000円から9,200円に上げると、1日200円、手元が月20日来れば月4,000円、年4万8千円の増加です。社会保険に入っていればその分も少し増えます。小さく見えても、毎年上がっていくものなので、見積書の人件費の単価を年に1回見直す習慣をつけておくと安心です。
見積書の項目の分け方は「工事の見積書の書き方」で詳しく書いています。元請けに単価の相談をするときも、「最低賃金が10月に56円上がった」という公的な数字があると話しやすくなります。
今日からできること
- 手元・見習い・パートさんの雇用契約書か給料の控えを出して、日給(月給)と1日の働く時間を書き出す
- 「日給÷所定労働時間」で時給に直し、自分の県の新しい最低賃金と比べる
- 通勤手当・皆勤手当・残業代を外しても足りているか確かめる
- 足りなければ、発効日(広島10/11・山口10/8)以降に働いた分を新しい額で計算し直し、すでに払った給料との差額を次の給料日に払う
- 次の見積から、人件費の単価を新しい額で計算し直す
- 自分の事業場がある県の新しい額と発効日
- 手元・見習いの日給と1日の所定労働時間
- 日給÷所定時間が最低賃金以上か(広島8時間なら9,128円以上)
- 月給の人は、手当を除いて平均所定時間で割った額
- 発効日をまたぐ月の給料の計算
- すでに払った分との差額(発効日以降の分)
- 次の見積の人件費の単価
細かい判断は最寄りの労働基準監督署・社労士に確かめてください。
これから人を雇う予定の人は、「はじめて人を雇うとき」もあわせて読んでおくと、求人の出し方まで段取りが組めます。独立したばかりの人は「独立したら最初にやりたい集客の準備」もどうぞ。
まとめ
- 令和8年度の最低賃金は全国加重平均1,177円。広島は10月11日から1,141円、山口は10月8日から1,101円
- 日給は「日給÷1日の所定労働時間」、月給は「月給÷1か月の平均所定労働時間」で比べる
- 広島で日給9,000円・8時間は1時間16円足りない。日給の下限は広島9,128円・山口8,808円
- 通勤手当・家族手当・精皆勤手当・残業代・賞与は計算に入れない
- 上がった人件費は、見積の単価に毎年乗せていく
雇う人の給料を守ることは、いい人に長く来てもらうことにもつながります。人を増やして仕事を広げたいときは、職人ウェブの無料の試作で、求人にも使えるホームページをのぞいてみてください。手当や働き方の細かい判断は、最寄りの労働基準監督署か社労士さんに確かめてくださいね。
ダンドリ親方一個ずつでええんよ。今日、給料の控えを1枚見直すだけで、来月の安心がぶち変わるけぇ!
出典・参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(令和8年度地域別最低賃金全国一覧)、厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」、厚生労働省 最低賃金特設サイト「あなたの賃金を比較チェック」、同「最低賃金制度とは」



