解体の仕事は、建て替えや土地の売却に付いてくることが多く、ハウスメーカーや不動産会社、工務店からの下請けが中心という解体業者さんは少なくありません。元請けからの仕事は量が安定する一方で、単価は相手の言い値になりがちです。
いっぽうで、空き家を相続した人が「とりあえず解体の見積もりを取りたい」と自分で業者を探すケースも増えています。この記事では、解体業者が施主から直接相談を受けるために、どこで見つけてもらい、何を見せればよいかを順番にまとめました。
解体の施主は「はじめての人」がほとんど
家の解体を頼むのは、多くの人にとって一生に一度あるかないかです。とくに空き家の解体では、施主は次のような人が多くなります。
- 親から実家を相続した子世代
- 遠方に住んでいて、現地にあまり行けない
- 兄弟姉妹など、ほかの相続人とも相談しながら決める
- 費用の相場も、必要な手続きも分からない
こうした施主は、まずスマホで「空き家 解体 費用」「(市町村名) 解体業者」などと検索します。そして、何社かのホームページやGoogleマップを見比べて、見積もりを頼む先を2〜3社にしぼります。
つまり、解体の直接受注で大事なのは「腕のよさ」そのものより、はじめての施主が不安に思うことに先回りして答えているかどうかです。業種ごとの載せ方の基本は解体工事のホームページのページにもまとめています。
施主が見つける3つの入口
Googleマップ
「近くの解体業者」を探すとき、多くの人は地図アプリを使います。Googleビジネスプロフィール(Googleマップにお店を載せる無料の仕組み)に登録し、業種・対応エリア・写真をそろえておきましょう。事務所の住所を出したくない場合は、対応エリアだけを表示する設定もできます。登録の手順はGoogleビジネスプロフィールの登録方法で解説しています。
ホームページ
遠方に住む施主ほど、現地を見に行けない分、ホームページをじっくり読みます。家族に「この会社どう?」とURLを送って相談することもあります。電話だけで決めにくい人にとって、ホームページは家族会議の資料にもなるわけです。
一括見積サイト・紹介
解体専門の一括見積サイトや、不動産会社・司法書士・税理士など、相続にかかわる人からの紹介も大きな入口です。この2つはあとの章でくわしく説明します。
見積もりの内訳は「比べ方」まで見せる
解体の見積もりは、同じ家でも業者によって金額に差が出やすいものです。理由が分からないと、施主は合計金額だけで選んでしまいます。ホームページで内訳の見方を説明しておくと、「安いけれど処分費が入っていない見積もり」と正しく比べてもらえます。
| 見積書の項目 | ホームページでの説明のしかた |
|---|---|
| 建物の取り壊し | 木造・鉄骨などの構造と延べ床面積で変わること |
| 廃材の運搬・処分 | 種類ごとに分けて処分場へ運ぶ費用であること |
| 重機の運搬 | 道幅が狭いと小さな重機や手作業になり、日数が増えること |
| 足場・養生シート | ほこりや破片の飛散を防ぐためのものであること |
| 付帯物の撤去 | ブロック塀・庭木・物置・カーポートなどは別項目になりやすいこと |
| 残置物(家財) | 家の中に残った家具や日用品の片付けは別料金になりやすいこと |
| 事前調査・届出 | アスベストの事前調査や届出の手続きにかかる費用 |
追加費用が出やすい条件も先に書く
解体でトラブルになりやすいのが追加費用です。たとえば次のようなことは、壊してみないと分からない場合があります。ホームページに「こういうときは追加になることがあり、その場合は必ず先にご相談します」と書いておくだけで、施主の安心感はかなり変わります。
- 地中から古い基礎・井戸・浄化槽・ガラなどが出てきた
- アスベストを含む建材が見つかった
- 見積もり時になかった家財が増えていた
近隣対応と廃材処理は「やっていること」を写真で
近隣へのあいさつと騒音・ほこり対策
施主がいちばん気にするのが、近所への迷惑です。とくに空き家の場合、施主本人は遠くに住んでいても、近所付き合いは親の代から続いています。「親が世話になったご近所に迷惑をかけたくない」という気持ちに応えることが大切です。
- 工事前のあいさつ回り(いつ、どの範囲の家に、何を持って行くか)
- 養生シートで囲った状態の写真
- 散水しながら作業している写真
- 作業時間や、車両の停め方の配慮
- 工事中に近所から連絡があったときの窓口
施主が遠方の場合は「あいさつ回りを代わりに行います」「工事の進み具合を写真でLINE報告します」と書いておくと、とても喜ばれます。
廃材の分別と処分
解体で出る廃材は、木くず・コンクリートがら・金属くずなど種類ごとに分けて処分します。建設工事の廃棄物は、原則として元請業者が「排出事業者」として処理の責任を負い、処分を委託するときはマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付することになっています。
ホームページでは、分別した廃材を種類ごとに並べた写真とあわせて「マニフェストで最後まで処分を確認しています」と一言書いておくと、不法投棄への不安をやわらげられます。家の中に残った家財は、建設工事の廃材とは扱いが違い、自治体ごとに出し方が決まっています。片付けを他の業者と組んで行う場合は、その流れも書いておきましょう。
写真は同じ場所から3枚
解体前・解体中・更地になった後を、道路側の同じ位置から撮っておくと、工事の流れが一目で伝わります。毎回同じ立ち位置から撮るのがコツです。
届出・補助金・税金は「案内できる」ことを伝える
はじめての施主は、解体にどんな手続きが必要かを知りません。業者が手続きの全体像を知っていて、案内してくれるだけで「この会社なら任せられる」と感じてもらえます。ただし、制度は改正されることがあるので、ホームページには「最新の内容を確認してご案内します」と書いておくのが安全です。
| 手続き | 主な内容 |
|---|---|
| 建設リサイクル法の届出 | 床面積80㎡以上の建物の解体は、工事着手の7日前までに発注者が都道府県知事(市によっては市長)へ届け出る。受注者は事前に書面で発注者に説明する |
| アスベストの事前調査と報告 | 解体部分の床面積が80㎡以上の解体工事などは、事前調査の結果を電子システムで自治体と労働基準監督署へ報告する |
| 建物滅失登記 | 建物がなくなった日から1か月以内に、所有者が法務局へ申請する |
解体工事を請け負うには、1件500万円(税込)以上なら建設業許可(解体工事業)、それ未満で建設業許可がない場合は都道府県ごとの解体工事業登録が必要です。許可番号や登録番号はホームページに載せておくと信頼につながります。
補助金は自治体ごとに違う
古くて危ない空き家の解体には、市区町村が補助金を出している場合があります。国の空き家対策の支援事業を使って、市区町村が独自に制度を設けている形が一般的です。
注意したいのは、補助金の有無・金額・条件が自治体ごとにまったく違うことです。建物の老朽度の判定がある、地元の業者に頼むことが条件になっている、契約や着工の前に申請しないと対象外になる、年度の予算がなくなると締め切られる、といった違いがあります。ホームページには「お住まいの市区町村の補助金を一緒に確認します」と書き、対応エリアの自治体の制度ページを把握しておくとよいでしょう。
固定資産税と相続空き家の特例
施主がよく気にするのが固定資産税です。住宅が建っている土地は税金が軽くなる特例があり、更地にすると対象から外れることがあります。また、相続した古い空き家を売るときに、一定の条件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円(相続人が3人以上なら2,000万円)を控除できる特例があり、昭和56年5月31日以前に建てられた家などが対象で、売却の期限は令和9年12月31日までです。
こうした税金の話は条件が細かいため、業者が判断を言い切るのは避け、「税務署や税理士に確認してください」と案内するのが基本です。それでも、こうした制度があることを知らせるだけで、施主にとっては大きな助けになります。
不動産会社・司法書士とのつながりを作る
相続した空き家の施主は、解体業者を探す前に、ほかの専門家と話していることがよくあります。
- 不動産会社:土地を売る前に更地にしたい
- 司法書士:相続登記の相談を受けている
- 税理士:相続税や売却の税金の相談を受けている
- 遺品整理・片付け業者:家財の片付けのあとに建物をどうするか
- 土地家屋調査士:解体後の滅失登記を扱う
こうした人たちは、お客さんから「解体はどこに頼めばいいですか」と聞かれることがあります。そのときに思い出してもらえるよう、地元の事務所にあいさつに行くのは効果的な方法の一つです。
あいさつに行くときの持ち物
- 名刺(許可番号・登録番号入り)
- ホームページのQRコード付きのチラシ1枚
- 解体前・中・後の写真を数組
- 「現地調査と見積もりは無料」など、紹介しやすい条件
紹介する側にとって大事なのは「紹介して恥をかかないか」です。ホームページで近隣対応や廃材処理の考え方が分かると、紹介する側も安心して名前を出せます。チラシの作り方はチラシ・ポスティングとホームページで解説しています。
声のかけ方の例
「相続した空き家の解体で迷っているお客様がいらっしゃれば、現地調査と見積もりだけでもお気軽にご紹介ください。施主様が遠方でも、近隣へのあいさつや工事中の写真報告はこちらで行います。」
解体の一括見積サイトとの付き合い方
解体専門の一括見積サイトは、施主が物件の情報を入力すると、登録している複数の解体業者から見積もりが届く仕組みです。施主は無料で使え、業者側は成約したときに手数料がかかる形のサイトが多くなっています。自治体と連携協定を結び、空き家の解体の相談窓口として紹介されているサイトもあります。
| 良い点 | 気をつけたい点 |
|---|---|
| 自分では出会えない施主から依頼が来る | 複数社と比べられるため、価格競争になりやすい |
| 集客の手間をかけずに仕事が入る | 成約時の手数料などがかかる(料率は各サイトの最新の案内で確認) |
| サイト上の評価が実績として残る | サイトの規約で、施主との直接のやりとりに決まりがある場合がある |
独立したばかりや、繁忙期の合間を埋めたいときには心強い入口です。いっぽうで、一括見積サイトから来た施主も、最後は業者のホームページやGoogleマップを見て決めることがよくあります。サイトの評価とあわせて、自社のページで「どんな会社か」が分かるようにしておくと、比べられたときに選ばれやすくなります。サイトの規約は守ったうえで、工事が終わったあとにGoogleの口コミをお願いするなど、自分の名前で残る実績を積み重ねていきましょう。
今日からできるチェックリスト
- Googleマップに登録し、解体前・中・後の写真を3組以上載せる
- 許可番号または解体工事業登録の番号を、名刺とホームページに載せる
- 見積書の項目と、追加費用が出やすい条件を説明する文を作る
- 近隣へのあいさつと、ほこり・騒音対策の写真を次の現場で撮る
- 対応エリアの市区町村の、空き家解体の補助金ページをブックマークする
- 地元の不動産会社・司法書士事務所に、チラシを持ってあいさつに行く
- 工事が終わった施主に、Googleの口コミをお願いする
まとめ
空き家の解体を考える施主は、はじめての依頼で、費用の差・近所への迷惑・廃材の処分・手続きのことが分からず不安を抱えています。見積もりの内訳、近隣対応、廃材処理、届出や補助金の案内をホームページで先回りして見せることが、下請けだけに頼らず直接相談を受けるための近道です。
職人ウェブでは、解体前・中・後の写真と屋号をお送りいただければ、ホームページを先に1ページ無料で試作しています。どんなページになるかを見てから考えたい方は無料試作のページをご覧ください。
業種別解体屋のホームページに載せるべきこと→

