地元で仕事を増やしたい職人さんにとって、チラシのポスティングは昔からある方法です。ただ、「刷って配ったけれど電話が鳴らなかった」「効果があったのかどうかも分からない」という声もよく聞きます。
チラシは、それだけで完結させようとすると、狭い紙面にすべてを詰め込むことになります。今は、チラシで興味を持った人の多くが、電話をかける前にスマホで業者のことを調べます。この記事では、チラシとホームページをQRコードでつなぐ考え方を中心に、載せること、配る範囲と時期、ポスティングの注意点、反応の測り方までをまとめました。
チラシは「入口」、ホームページは「決め手」
チラシを見た人が連絡するまでには、次のような流れがあります。
- ポストに入っていたチラシを見て「そういえば気になっていた」と思う
- すぐには連絡せず、冷蔵庫に貼ったり、引き出しにしまったりする
- いざ頼もうとしたときに、業者名で検索したり、QRコードを読んだりする
- 施工写真・料金の目安・口コミを見て、問題なさそうなら連絡する
つまり、チラシの役目は「この業者がいる」と知ってもらい、もう一歩くわしく見てもらうことです。最後の決め手になるのは、チラシの先にあるホームページやGoogleマップの中身です。チラシの紙面に全部を書こうとせず、「続きはホームページで」と割り切るほうが、紙面はすっきりして読みやすくなります。
ホームページがまだない場合は、チラシを刷る前に1ページだけでも用意しておくと、QRコードの行き先ができます。施工写真をたくさん見せられるのもホームページの強みです。
チラシに載せること・載せないこと
必ず載せたいこと
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 何屋か | 一番大きな文字で「外壁塗装」「エアコンクリーニング」など、ひと目で分かる言葉に |
| 屋号と顔 | 代表の顔写真があると、知らない業者への不安がやわらぐ |
| 対応エリア | 「○○市・△△町」と書くと「近くの業者だ」と分かる |
| 施工写真 | 作業前と後を1組、大きめに |
| 料金の目安 | 「○○円〜」と、金額が変わる条件も添える |
| 連絡先 | 電話番号、受付時間、LINEなどのメッセージ窓口 |
| QRコード | ホームページへ。何が見られるかも書く(「施工事例はこちら」など) |
載せないほうがよいこと
- 作業できることを全部並べた長い一覧(いちばん頼まれたい仕事を2〜3個にしぼる)
- 根拠のない「地域No.1」「最安値」などの表現
- ネットから拾った写真(自分の現場の写真を使う)
「No.1」「日本一」などの表示は、合理的な根拠がなく事実と違う場合、景品表示法で問題になることがあります。消費者庁も令和6年に「No.1表示」の実態調査報告書を公表しています。使うなら、何の・どの範囲での1位なのかを根拠とセットで書けるときだけにしましょう。
QRコードの置き方
- 小さくしすぎず、周りに余白を空ける(余白がないと読み取りにくくなる)
- QRコードの近くに「スマホで読むと施工写真が見られます」と、読むと何があるかを書く
- QRコードが読めない人のために、屋号やホームページのURLも文字で書いておく
- 刷る前に、自分のスマホと家族のスマホで実際に読んで、正しいページが開くか確かめる
なお、QRコードの技術自体は無償で使えますが、「QRコード」という名前は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。チラシに「QRコード」と書く場合は、隅に「QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です」と小さく入れておくと丁寧です。
チラシの作り方の手順
- 誰に向けるかを決める:戸建ての多い住宅地か、マンションか。古い家が多い地域か、新しい家が多い地域か。
- いちばん頼まれたい仕事を1つ決める:表面の主役はその1つにして、ほかの仕事は裏面か小さく。
- 写真を選ぶ:作業前と後を同じ角度から撮った写真が、いちばん伝わります。撮り方は施工写真の撮り方を参考にしてください。
- 文章を書く:見出しは「お客さんの悩み」を短く。例「ベランダの床、色あせていませんか」。
- 作る:無料のデザインツールや印刷会社のテンプレートを使えば、自分でも作れます。
- 印刷する:最初から大量に刷らず、まずは少ない枚数で反応を見るのがおすすめです。
見出しの文例
- 塗装:「築10年を過ぎたら、一度外壁を見てみませんか」
- エアコン:「夏の前に。エアコンの中、見えないところまで洗います」
- 造園:「伸びた庭木、1本から切ります」
- 便利屋:「電球交換から家具の移動まで。ひとりで困ったらお電話ください」
どれも「何をする人か」「どんなときに呼べばいいか」が一言で分かるようにしています。
配る範囲と時期の考え方
範囲は「すぐ行ける場所」から
最初は、事務所や自宅から車ですぐ行ける範囲にしぼるのが基本です。近いほど移動の時間とガソリン代がかからず、「近くの業者」であることも強みになります。いきなり広い範囲にまくより、同じ地域に何回か届けるほうが、名前を覚えてもらいやすくなります。
次のような場所は、反応が見込みやすい地域の一つです。
- すでに工事をした家の近所(同じ時期に建った家が多い)
- 仕事の内容に合う建物が多い地域(塗装なら戸建て、エアコンなら住宅全般など)
- Googleマップやホームページへの問い合わせが多い地域
工事現場の近所には「ごあいさつ」を兼ねて
工事をする前のあいさつ回りで、近所の家にチラシを手渡しするのも一つの方法です。足場や車で迷惑をかけるおわびと一緒に渡せば、自然に顔と名前を覚えてもらえます。現場を見た人が「うちもそろそろ」と思うこともあります。
時期は仕事の季節の少し前
多くの職人仕事には季節の波があります。依頼が増える時期の直前に届くようにすると、「ちょうど考えていた」というタイミングに合いやすくなります。
| 業種 | 配る時期の例 |
|---|---|
| エアコンクリーニング | 冷房を使い始める前の春〜初夏 |
| ハウスクリーニング | 年末の大掃除の前の秋 |
| 庭木の手入れ・草刈り | 草木が伸びる初夏や、年末の前 |
| 外壁・屋根塗装 | 塗装に向いた気候の春・秋の少し前 |
ただし、繁忙期の真っ最中に配ると、問い合わせが来ても対応しきれないことがあります。自分の予定に空きがある時期から逆算して配りましょう。
ポスティングで気をつけること
「チラシお断り」の表示は必ず守る
ポストや玄関、マンションの入口に「チラシ投函禁止」「チラシお断り」と書かれている家には入れないのが鉄則です。苦情になるだけでなく、業者の評判を落とします。マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入ってビラを配った行為について、住居侵入罪が成立するとした最高裁の判決(平成21年11月30日)もあります。
- ポストや玄関の「お断り」表示を確認してから入れる
- マンションは入口や管理人室の掲示を確認する。オートロックの中には入らない
- ポストからはみ出すように入れない(雨でぬれる・抜き取られる原因になる)
- 苦情があった家は記録して、次から入れない
- 早朝や夜遅くは避ける
配る人を決めて、地図で管理する
自分や家族で配る場合も、どの地域にいつ配ったかを地図に印をつけて残しておきましょう。同じ家に短い間に何度も入れてしまうのを防げますし、あとで反応を比べるときの記録にもなります。
自分で配れないときの方法
時間が取れない場合は、ポスティング会社に頼む方法のほか、新聞の折込チラシや、日本郵便の「タウンプラス」もあります。タウンプラスは、あて名を書かずに、指定した地域の配達できる世帯・事業所へ郵便で届けるサービスで、町や丁目の単位で地域を選べます。それぞれ料金や配る範囲の決め方が違うので、事前に問い合わせて比べてみてください。
反応を測るしくみを最初から作る
チラシの効果が分からなくなる一番の理由は、「どこから連絡が来たか」を記録していないことです。配る前に、測るしくみを用意しておきましょう。
チラシ専用のQRコードを作る
QRコードの行き先を、ふだんのホームページのURLではなく、チラシ専用のURLにします。たとえば、URLの末尾に目印をつけたものや、チラシから来た人だけが見るページを用意する方法です。アクセス解析(ホームページを見た人数や経路が分かる無料の仕組み)を入れておけば、チラシのQRコードから何人がページを開いたかが分かります。
配る地域や時期ごとにQRコードを分けておくと、「A地区とB地区、どちらの反応がよかったか」まで比べられます。
電話では「何を見て」を聞く
電話やLINEで問い合わせがあったら、最後に一言「何をご覧になってお電話いただきましたか」と聞いて、ノートやスマホにメモします。チラシを見てから検索して電話してくる人もいるので、QRコードの数字だけでは分からない反応も拾えます。
記録しておくこと
| 記録する項目 | 例 |
|---|---|
| 配った日と地域 | 10月第1週・○○町1〜3丁目 |
| 配った枚数 | 実際に入れた枚数 |
| QRコードからのアクセス | アクセス解析の数字 |
| 問い合わせ件数 | 電話・LINE・フォームの合計 |
| 成約件数と金額 | そのうち仕事になった件数 |
この記録があれば、次に配るときに「どの地域に、どの時期に、どんな見出しで配るか」を数字で決められます。チラシの文面を2種類作って、地域ごとに配り分けて比べるのも効果的です。
よくある失敗は、1回配って反応が少なかったからとすぐにやめてしまうことです。チラシは保管されて、時間がたってから連絡が来ることもあります。少なくとも数か月は記録を続けてから、続けるかどうかを判断しましょう。
チラシのあとに見られる場所を整える
チラシを見た人は、QRコードを読むだけでなく、屋号で検索することもよくあります。そのとき表示されるGoogleマップやホームページが空っぽだと、せっかくの関心がそこで途切れてしまいます。
- 屋号で検索して、Googleマップに自分のお店が出るか確かめる
- Googleマップの写真・営業時間・電話番号が最新になっているか
- 口コミが少なければ、これまでのお客さんにお願いしてみる
- ホームページに、チラシと同じ施工写真や料金の目安が載っているか
Googleマップの見え方を自分で整える方法はMEO対策を自分でやる方法にまとめています。チラシ・Googleマップ・ホームページで、屋号・電話番号・写真の雰囲気をそろえておくと、「チラシの業者だ」とすぐに分かってもらえます。
まとめ
チラシは、地元の人に「この職人がいる」と知ってもらう入口です。紙面には何屋か・対応エリア・施工写真・料金の目安・連絡先をしぼって載せ、くわしいことはQRコードからホームページで見てもらう形にすると、読みやすく、反応も測りやすくなります。配る範囲は近くから、時期は仕事の季節の少し前、「チラシお断り」の表示は必ず守り、チラシ専用のQRコードと「何を見て」の聞き取りで効果を記録していきましょう。
QRコードの行き先になるホームページがまだない方は、先に1ページ無料で試作するサービスもあります。くわしくは無料試作のページをご覧ください。


