独立したばかりのころは、前の職場や知り合いの元請けから回ってくる仕事がありがたい存在です。段取りも集金も元請けがしてくれるので、腕だけで勝負できます。ただ、何年か続けていると「単価がなかなか上がらない」「繁忙期と閑散期の差が大きい」「元請けの都合で仕事が急に減った」といった悩みも出てきます。
この記事では、下請けの仕事を続けながら、お客さんからの直接の依頼を少しずつ増やしていく方法をまとめました。いきなり元請けから離れる話ではありません。
下請けだけに頼ると起きやすいこと
- 仕事の量を自分で決めにくく、元請けの受注が減るとそのまま影響を受ける
- 金額の交渉がしにくい
- お客さんとの接点がないため、口コミや紹介が自分の名前で残らない
- 自分の屋号で検索しても、実績が何も出てこない
特に最後の2つは見落とされがちです。どれだけよい仕事をしても、お客さんが覚えているのは元請けの会社の名前です。自分の名前で積み上がっていくものがない、というのが下請け中心の働き方の一番の弱点かもしれません。
直接受注の良いところと大変なところ
| 下請けの仕事 | 直接の依頼 | |
|---|---|---|
| 仕事の取り方 | 元請けから回ってくる | 自分で見つけてもらう |
| 金額 | 元請けが決めることが多い | 自分で決めて見積もる |
| お客さんとのやり取り | 少ない | 見積もり・説明・日程調整まで自分で |
| 集金 | 元請けから | お客さんから(未払いへの備えも必要) |
| 口コミ・紹介 | 元請けの名前で残る | 自分の名前で残る |
直接の依頼は、金額を自分で決められ、口コミや紹介が自分の財産になるのが大きな利点です。その分、見積もりや説明、日程の調整、集金まで自分でこなす必要があります。どちらが良い悪いではなく、両方を持っておくと仕事の波に強くなる、と考えるのが現実的です。
元請けとの関係を崩さないために
直接の依頼を増やすときに一番気をつけたいのが、今お世話になっている元請けとの関係です。
- 元請けの現場で出会ったお客さんに、自分から直接の営業をしない。元請けとの信頼関係を大きく損ねます。
- 元請けの仕事で着る作業着や車に、自分の連絡先を大きく出すかどうかは、事前に相談しておく
- ホームページやGoogleマップに載せる施工写真は、自分が直接受けた仕事のものにする。元請けの現場の写真を使いたい場合は、元請けとお客さんの了解を取る
元請けとの契約で、お客さんとの直接の取引や写真の扱いについて決まりがある場合もあります。契約の内容を確認し、分からない点は元請けに相談してください。
直接の依頼を増やす準備
自分の名前で見つけてもらえる場所を作る
直接の依頼は、お客さんがあなたを見つけるところから始まります。Googleマップへの登録と、1ページのホームページは最低限そろえておきたいところです。屋号で検索したときに、仕事の中身と連絡先がすぐ分かる状態にしておきましょう。
料金の目安を出しておく
直接頼もうとするお客さんが一番不安なのは「いくらかかるのか」です。すべての金額を出す必要はありませんが、よくある作業の目安と、金額が変わる条件を書いておくだけで、問い合わせのハードルは大きく下がります。
見積もりと説明の型を作る
見積書のひな形、よくある質問への答え、工事の流れの説明をあらかじめ用意しておくと、慣れないやり取りでも落ち着いて対応できます。ホームページに同じ内容を載せておけば、説明の手間も減ります。相見積もりで選ばれるために何を載せるかは、相見積もりで選ばれる職人のホームページに載っている7つのことを参考にしてください。
口コミを自分の名前でためる
直接受けた仕事では、終わったあとに口コミをお願いしましょう。口コミが増えるほど、次のお客さんが安心して連絡できるようになります。
いきなり切り替えず、少しずつ比率を変える
直接の依頼は、準備してすぐに増えるものではありません。Googleマップの口コミや施工写真は、少しずつたまっていくものです。まずは下請けの仕事はそのままに、空いている日に直接の依頼を入れるところから始め、1年、2年と時間をかけて比率を変えていくのが無理のない進め方です。
繁忙期の前(エアコンなら春先、塗装なら気候のよい時期の少し前など)に準備を終えておくと、問い合わせが増える時期に間に合います。
まとめ
下請けから直接受注へ移るのは、どちらか一方を選ぶ話ではなく、自分の名前で仕事が入ってくる入口を少しずつ育てる話です。元請けとの関係を大切にしながら、Googleマップとホームページ、料金の目安、口コミを整えていけば、仕事の波に振り回されにくくなります。
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